ORANGE SNOW

「ちゃんとご飯食べた?」

「うん!」

その問いかけに蓮華は元気よく答え、さくらの胸に顔を押し付け甘える。
齢10歳にしては甘えん坊すぎるのだが、さくらと違って純粋な可愛さ(こんな事言ったらさくらに殺されかねないのだが)を蓮華は持ち合わせており、この教会の誰からも好かれていた。

「ったく、甘えん坊だね。
ほら、もうすぐ蓮華は勉強の時間だから準備しておいで」

とかちょっとお叱りをしつつ甘えてくれるのを嬉しそうにしているさくらは、蓮華を静かに降ろした。
そして蓮華は、「はーい」と残念そうにするとくるっとリヴィアスの方を向いた。
なんだろう、と首をかしげると蓮華は、

「またあとでね、ぶさいく!」

「………」

そう言って、食堂をあたふたと去っていった。
何やらデジャブを感じたリヴィアスは「蓮華に何吹かせてんだ」とさくらを睨むと、さくらは明後日の方向を向き、

「さーて、ご飯ご飯」

と、我が物知らずに逃げていった。

「おい」

そんなさくらにリヴィアスは拳を握りしめ肩を掴むと、

「なに、ご飯冷めるよ?
食べないの?私リヴィアスのも食べていい?」

「どんだけ食べる気だよおい」

見事に話をそらし、ご飯を差し出すさくらの様子に苦笑した。