『リヴィアス、14歳』
少女―――リヴィアリア・スカーレットはその名前も地位も権力も全てその場で捨て、ただ生きたい、とだけ願う。
自分で自分につけた名―リヴィアス、修道女はそれを呼び、リヴィアスの体を静かに抱き上げた。
抵抗する気力もないリヴィアスが修道女を見上げると、修道女はまぶしい程の、笑顔だった。
『リヴィアス、大丈夫よ。
私が貴方に、おうちをあげます』
この瞬間、この修道女の言葉で、少女―――リヴィアスは自由になった。
思わずリヴィアスは目に涙を浮かべ、それに驚いた修道女はあたふたと慌てて、挙動不審そうにあやした。
それが少し笑えてきて、リヴィアスは涙を浮かべながら笑った。
そして次第に、それに疲れ、目を閉じた。
心地よい人の温もりの中で、静かに眠りについた。
