少女は私の心を読み取ったのか微笑み、頷いた。
『一般市民の街まで一気に走ってください、そこであなたがあの人にかけられている、人間には見えない魔法がとけます。
振り向かず、前を見て、ひたすらに走ってください。
そうしたらあなたは―――』
少女は呪文も唱えずに掲げた手の前に魔方陣を出し、そしてそこから光が散ったと思うと―――いくつものつららが飛び出し老人に向かっていく。
『自由です』
生きなさい、という少女の声と共に私は走り出した。
老人がそれに気付き炎を放つが、少女は前に飛び出しそれを受け止めた。
老人は舌打ちをすると少女に炎をいくつも放ち、少女の体にそれは傷として刻まれていく。
その少女の呻き声を背に、私はひたすらに走り続けた。
生きたい、生きたい。
自然と口にそう呟きながら、ただ前を見て街へと向かって走り続けた。
