ORANGE SNOW


親子、なのだろうか。

私は状況がわからないまま自分が生きている事に驚き座り込む。
それを見た少女は、小さく消えるような声で私に呟いた。

『お父様―――いえ、あの人は今理由はわからないですが正気ではないのです。

正気でないとはいえ、私はあの人に勝てる力はありません。
でも、あなたを逃げさせる時間は稼げます』

―――逃げる?

私はその言葉に少女を見た。
先ほどまで死ぬ気満々だった気力が、なぜだか一気に生きたい気力に変わっていく。

そうだ、私は自由なんだ。
スカーレット家は、あの老人によって、消えた。

私はもう自由なんだ。
私は、―――生きたい。