ORANGE SNOW


炎の熱さも痛みもなく、そして幼い少女の声がし私はゆっくりと目を開いた。

私の目の前には、老人と同じ白いマントを羽織った酷く小さな少女が手を前にかかげ、老人の炎をかき消していた。
そしてその声に似合わず、しっかりとした言葉で老人に言った。

『お父様、人間を殺してはなりません。
いい加減目を覚ましてください。
なぜ人間の言う事を聞いて、人間を殺し、そして罪のないこのような娘まで手にかけるのです』

『お前には関係ない。
失せなさい』

老人は少女にお前には興味がない、と言わんばかりに少女に言い放つと再び炎を作り出した。
少女はそれを見て、静かに首を振る。

『いいえ、消えません。
家の命によりあなたを取り戻しにきたのです。
そしてこの娘をどうしても殺すと言うならば、あなたの娘である私も殺していきなさい』

少女は、手を再び前に掲げた。