ORANGE SNOW

老人は一瞬口を驚いたようにあけたが、すぐに口を閉じ私を見る。
もう話す事はない、と言わんばかりに。

私自身もう話す事もないとばかりに、目を閉じ、その時を待った。
老人のあの声で、炎を放つための呪文が聞こえ―そして放たれた音がした。

―――さようなら、リヴィアリア・スカーレット。

私は静かに自分と別れを告げた。



―――はずだった。



『―――やめてください、お父様』