ORANGE SNOW


『なんで笑う?』

嬉しいからよ。
私は答えながらよろよろと立ち上がり、

『なんで嬉しい?』

私を見てたならわかるでしょう。
今や汚れた質素なメイドの服を整え、

『死ぬのが、嬉しい?』

いいえ、死ぬのは怖いわ。でも。
手を前で揃え、顎を引き、毅然とし、老人に微笑んだ。

大嫌いなこのスカーレット家が消えるって事が、嬉しいの。

私は、貴族の一人娘としての態度で、老人に向かって言いはなった。