ORANGE SNOW

あまりの痛さに私は声をあげるが、屋敷に夢中な人々は私に目もくれない。
いや、まるで、見えてないかのように、見ていない。

そして私の目の前には、あの少年の声を持った白い老人が立っていたのだ。
そして老人は、その手に目一杯の炎をためて、私に向けていたのだ。

『あとは、お前だけ』

老人はその白いマントの下からニヤリと笑い、私を見下していた。

怖い、純粋にそう思った。
けれど私は冷静に老人を見返した。
そして私の心の中にあるこの結末がなぜか嬉しくてたまらなくて口を歪ませた。

名門スカーレット家は、もうおわった。