そしてあっという間に授業は終わり、放課後になった。
よし、帰ろう。
そう思い、立ち上がったとき――。
「未歩」
背後から誰かに呼び止められる。
と言っても、私がこの声を聞き間違えるはずがないのだけれど。
「なに?航」
振り返ると同時に、そう聞いた。
そこには予想通り、不機嫌そうな航がいた。
朝のあの一件以来から、今日1日中、ずっとこんな顔してたよね。
「今日、美術室で待ってろよ」
「えっ?」
「迎え行くから、待ってろ」
「ちょ、ちょっと待って!
今日は沙奈もいないし、帰ろうと思ってたんだけど!」
「……ダメ。今日は帰るな」
不服そうな顔で、でもどこか真剣な表情の航。
なぜか、〝頼むから〟って、お願いされてるような気がした。


