それよりも……。
私は、図書室の窓辺へと近づいた。
ここから見えるグラウンドでは、部活の人達が片付けをしている。
陸上部の人は、片付け終えたのか、もういない。
野球部の人達が、グラウンドの整備をしているのみだった。
……そろそろ、かな。
そんな直感がして、私はここから見える昇降口に目をやった。
するとタイミングよく、そこから男女のふたりが出てくる。
私もよく知ってるあのふたりだ。
航と沙奈。
ふたりが並んで、楽しそうにしながら帰って行くのが見えて、胸がチクンと痛んだ。
航は今日、沙奈に告白でもするのかな?
沙奈は……彼方のこと好きって言ってたけど、どうするんだろう?
頭の中がグルグルといっぱいになる。
知ってたはずじゃん。
航と沙奈が、今日は一緒に帰るのをわかってたのに、私はわざわざそれを確認している。
わかってたけど、こんなに切ないなんて。
わかってたけど、こんなに苦しいなんて。


