この季節のこの時間は、まだ日が傾いてなくて明るい。
たまに外では、部活をやってる人の声が聞こえる。
窓から吹く風が、私の髪を揺らした。
そのどれもが心地よくて、集中して本を読むことができた。
もう、時間が流れることも、夕日が傾いていくことも忘れて。
私はずっと、その本に読み入っていた。
それから、どれくらい時間が経っただろう?
突然、校内でチャイムが鳴り響く。
この音がなれば、部活は終わりで生徒のみんなは帰らなければならない。
私はハッとして、読みかけの本から顔を上げた。
「やば。もうこんな時間……」
図書室の時計を見ると、確かにもう下校しなければいけない時間だった。
まだ読みかけのこの本の続きが気になる。
だけど図書委員もいないし、借りることもできないから……またここに来ることにしよう。


