「そういえば、未歩は小説が書けないから早く帰るの?」
「えっ?」
「いや、未歩が早く帰るなんて珍しいから……」
彼方から、小説の話題が出てきたことに驚いた。
「うーん。……小説が書けないっていうか、書きたいんだけど……」
「?」
「今のままじゃたぶん、書けないから、今日は万年筆でも買いに行こうかなって……」
〝金曜日〟が来るまで、おそらく私は小説が書けないだろう。
だって、航が事故にあうかもしれないっていう恐怖が、ずっと頭の片隅から離れないから。
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