それからはもう、バタバタだった。
急いで新人小説大賞の説明に必要なパンフレットや、契約に当たっての書類やらを諸々に持たされ、社長にバンッと強く背中を叩かれ出版社を後にした。
本来なら、できる担当編集者みたいに、背筋を伸ばして落ち着いて歩いて行きたいところだけど、そうもいかない。
約束の時間まで残り僅かなため、私は全速力で走って向かっている。
ヒールが高いってこういう時デメリットになる〜!
きっと髪もボサボサで、悲惨なことになってるに違いない。
こんな時でさえ、私は自慢の幼なじみを思いだしていた。
航みたいにもっと足が速ければなぁ、なんて。
いや、こんな時だからこそ思いだすのかもしれないけど……。


