「それより、おばあさんは大丈夫なんですか?」
『なーに、ただのぎっくり腰だ。ちょっと認知症が進行してるから、本人が大袈裟になってるだけ』
おどけたように言ってみせてるけど、救急を要しているくらいだ。
きっともっと重くて、編集長もおばあさんのことを心配しているに違いない。
なのにそれを悟られないように、私達にいつものように対応するその凛々しさは、本当に尊敬に値する。
「そうですか……。お大事にしてください」
『ああ、ありがとう。祖母が落ち着いたら、またそっちに向かう』
「……はい。でもご無理はなさらないでくださいね。
それでは、失礼させてもらいます」
『待て。上原』
耳から受話器を離そうとした時だった。
編集長の言葉が、私の耳元で心に響く。
『あんたが変えた必然を、大事にしろ』


