「聞いてるの、未歩!」



「え?あ、うん。聞いてる聞いてる」



おっと危ない。これでまた聞いてなかったら、プチお説教が延々と続くとこだった。



彼女の迫力はとても凄ましい。


咄嗟に頷いていたから、本当によかった。




「それよりも、今回は長引いてるね」



私は急いで話題を変えた。そうしないと、この話題は絶対に尽きてはくれないだろうと思ったから。



うまく回避するためにも、私はこの部署にある会議室を見つめた。



あそこでは今、とても重要な会議をしている真っ最中だ。




「こら。今、話題そらしたでしょ」



「あはっ」



「何が、あはっ、よ。バレバレだっつーの。
……まぁ、そうね。毎年恒例の一大イベント、新人小説大賞だから、どの作品にするのか決めかねてるんじゃない?」



ようやく彼女も諦めてくれたのか、私が出した話題に触れてくれた。



「今回はすごくいい作品が勢揃いだって言ってたもんね。社長も」



いつになったら出てくるんだろう?



なんて、そんなこと思いながら見つめてると、ふいに会議室のドアが開いて、社長を始め、会議に出席していた社員がぞろぞろと出てきた。



みんなが一斉に立ち上がる。