――カタカタカタ……カチッ。



パソコンのキーボードを打ち続け、ようやく最後のコメントを書くと、エンターキーを思いっきり強く押した。



「ふう……、できたーっ!」



思いっきり伸びをして、パソコンの画面を見つめる。



この達成感は、他でもない、この鬼のような編集作業を終えた結果から得られたものだ。



ひとまず、しばらくはこの余韻に浸っていることができるだろう。



「あっ、未歩、ようやく作業が終わったの?」



そんな私に気づいて声をかけてきたのは、私と同じ時期にこの会社に入社した同期の子だった。


名前は土屋栞(つちや しおり)。愛称はツッチーで、ここのみんなからそう呼ばれている。



「うん。たった今終わったよ」



「お疲れー。今回は期間も短かったし、大変だったんじゃない?」



「そうだね。でも、新人作家さんだし、余裕を持たせてあげたいから、早めに初稿を送ってあげたいなと思って」



「優しいねー。うちの期待の新人編集者は」