卒業証書を持っていない方の手を伸ばし、その花びらを手のひらの上に受け止めた。



……あったかい。



触れれば、じんわりと沁みていくように、優しい気持ちになれた。




私、この温もりを知ってる。



おだやかで、温かくて、優しい光。



そっと大事に手のひらの中に包み込み、そのまま目を閉じて自分の口元へと引き寄せる。



「……頑張るよ」



そして、桜の花びらに囁くように語りかけた。





まだ見ぬ未来へ、私の物語を届けるために。



私は、前を向いて歩き出す。




卒業したからって、私の人生の物語は、終わったわけじゃない。



むしろここからがスタートラインだと思う。



そうだ。私の物語は……まだ始まったばかり。




顔を上げて、前を見据えた。




私の心の中に、生き続けている想いがある。






その想いを胸に、私は未来へ歩き続けるんだ。