地を蹴って、風を作り出す航。



滑らかに走りだす姿をこの目に焼き付けながら、その背中を追いかけた。



――『おい未歩ー!早く来いよー!』


――『待ってよ航〜!速いよぉ』



小さい頃から、ずっと一緒にいるのが当たり前だった。


だけど私達は、今日を境に離れ離れになる。



航は夢を見つけた。




その夢がなんなのか、最初はなかなか教えてくれなかったけど、私が拗ねて口を利かなくなるとすぐに降参して教えてくれた。



『まだ迷ってるけど、インストラクターか、体育の教師になって陸上部の顧問がしたい』



それを聞いたのは、航の部活最後の引退試合が終わったあとのことだった。



優勝の功績を残した航が、照れながらも笑って「走る楽しさを人に教えたい」って、そう言ったのを覚えてる。



そのために、遠くの専門の学校に行くって決めたことを教えてくれた。