「行くよ、航!」


「おう。じゃ、俺らは先に行ってくるわ」



航も残りのお茶を飲み干すと、お母さんのたちに旅立つことを告げるように立ち上がった。



そしてそのまま、ふたり急ぎ足で玄関へ向かう。



「行ってきまーす!」


「行ってらっしゃーい」




ドアを開けると、心地よいほど穏やかな太陽が私達を迎えてくれた。



……今日は、よく晴れるね。




「未歩、走るぞ!」


「えっ!?」



航のいきなりの発言にビックリする。



私は太陽を眺める時間すら与えてもらえないらしい。


見ると、今からイタズラをするみたいに、無邪気に笑ってる幼なじみの横顔が視界に映った。




……まぁいっか。



こっちの方が、私にとっては太陽だ。



今日くらい、幼なじみの走る姿を見つめていたい。