だって、最初からそうだった。



彼方はいつだって、私のために必死で、自分を犠牲にしてしまうほど、優しい人だった。



ずっと、ずっと、私のことを1番に想ってくれていたからこそ、この選択しかなかったんだと思う。



……君は最後まで、優しい人だったんだね。



だってほら、彼方を包む光は……こんなにもおだやかで、温かくて、優しい。



「彼方……。私、小説書くから……必ず完成させるから。だから、未来で読んで。お願い……」



私の最後のお願いだよ。


だってもう、私が彼方に残せるものって、それしかない。



だから私は、未来に託したの。


君がくれた未来を、信じるよ。




「……うん」




私の想いが込められた物語。



彼方が未来でこの物語を読んだ時に、私ようやく、言えなかった〝好き〟って気持ちを伝えることができる。



それが、何千、何万年先の話でも……彼方に届けばそれでいい。




ただ願うなら、この先もふたりをつなぐ絆だけは、長い年月を経ても色褪せることなく生き続けてほしい。