手放したくない……。
忘れたくない……。
「……会いたい」
本音がこぼれ落ちた。
閉じているまぶたから、ポロリと涙が頬を伝って落ちていく。
……あ、私は今、後悔してるんだ。
胸の疼きが、そうなのだと誇張するように、ズキズキと痛む。
わかってる。
彼方がくれた未来を、無駄にしてはいけないってこと。
みんなが背中を押してくれたから、私は前を向いていかなきゃいけないこと。
だけど、最後にもう一度。
もう一度、彼方に……。
そのときだった。
美術室のドアが開いたのは。
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