「好きだよ、未歩」



どうせこの言葉もなかったことになるのなら、今伝えることを許して欲しい。



「か、なた……」



今も昔も変わらずに……そして、これからもずっと、俺は一途に変わらず彼女に恋をし続けるだろう。


未歩の人生に、未歩の物語に、未歩本人に。




煌めく夢を持ち、叶うと信じてやまない未来は、とある運命によって狂わせられる。



いけないことだとわかっていても、それを変えたかった。



彼女の夢が叶う瞬間を、この目で見届けたかった。




なぜなら……。




俺は、小説を書いてる時の未歩が好きで――。


この混純とした世界から、純粋でひた向きな光だけを集めて原稿用紙に書きとどめる姿が好きで――。



万年筆を通して、原稿用紙にありったけの想いを留める未歩は、目が反らせないほど眩しくて――。



そうして書き上げられた物語には、ありのままの未歩の心が映し出されていて――。




……未来にいる心を失いかけた少年を、救ってくれる。