「でも、今回の嘘は少し悲しい」



「……未歩は、真実を知りたい?」



「うん、知りたい。教えてほしい。本当のことを全部」



「……傷つくかもしれないよ?いいの?」



「いいよ」



どんな痛みも苦しみも、それらすべては私のもの。


私の一部だから、受け入れなきゃいけないの。



「逃げてばかりじゃ、きっと未来を見失うもの」



もう、大切なものを失う想いはしたくない。


後悔しないために、この選択をする。




「そっか。未歩はもう、そこまで未来を見つめてたんだ」



どこか安堵の含まれる表情で、彼方はおだやかに微笑んだ。



「わかったよ。すべてを教える。君に」





そうして彼方は語り始めた。



自分の過去のこと。



その、非現実的で、まるで小説のような物語は……私にとって、ずっと先の未来での出来事の話だった。