私は昇降口に目を向けることなく、まっすぐ美術室に向かった。 そして、明かりの漏れてるドアに手をかける。 あの絵の完成、楽しみだな。 そんなことを思いながら、ドアを開けた。 ――ガラッ。 「沙奈、あの絵完成し……た……?」 夕暮れ。 美術室。 窓から吹く風が、少し冷たい。 目に映るのは、あまりにもキレイな夕日と……。 夕日をバックに、原稿用紙を優しく微笑んで見つめる……意外な人物の横顔。 儚いほどに、キレイだった。