「聞かなきゃ、わからないままだよ」 それでいいの?沙奈が問う。 いいわけない。だけど、知ってしまうのが怖い。 けれど、知らなきゃいけない。 「伝えなきゃ、なにも変わらないよ」 沙奈に背中を押された気がした。 ポンッと優しく、前に出るよう。 〝未来〟への〝一歩〟を踏み出せと。 私は目の前の原稿用紙に目を落とした。 悩んで、迷って、葛藤して……。 矛盾した気持ちが辿り着く先は…… 〝彼方のこと、知りたい〟 それだった。