考えろ。考えろ。 もしも自分がこの少女なら、なぜ少年を救いたいと思う? 深く目を閉じて、深呼吸をする。 もしも私が……少女ならば……。 思い浮かんだのは、彼方だった。 もしも私が、彼方を救いたいと思う理由があるとするならば。 例えば。 ……私の残された時間が、あまりにも少ないから。 ……かつて彼方に、救われたことがあったから。 ……ただ純粋に、彼方のことを愛しているから。 「これだ……」 消えいるような独り言を、ポツリとつぶやいた。 原稿用紙にもう一度筆を滑らせる。