「未歩が謝ることじゃないよ」
……私の周りにいる人は、優しすぎるから困る。
沙奈はとびきり無邪気に笑ってみせた。
「私が勝手に、無鉄砲に決めた夢を叶える自信がなくて、言えずにいただけなんだから……」
「……沙奈」
「言うの、遅くなってごめん。でもやっと言えた」
心のつっかえが取れたかのように、清々しい表情をしてる沙奈。
大切な、唯一の友達である彼女に、私ができることってなんだろう……?
なにもない。
本当に、こんなことしか、
「沙奈の夢、本気で応援してるから」
こんなことくらいしか。
無力な自分。なんて頼りない。
「だって私、沙奈の絵が本気で好きだし。誰よりも沙奈の絵を近くで見てきたし。
1番のファンだって、自信あるから……」
不器用でごめんね。この言葉しかなくてごめんね。
でもね、本気で私、沙奈を支えたいって思ってるよ。
「ありがと、未歩」
まるで私の気持ちを見透かしたように、沙奈はおかしそうに笑った。
その笑顔に、いつも心救われる。


