「ねぇ、沙奈……っ」



「……」



「未歩!」



ふたりとも理由も教えてくれないまま、意味もなく時間だけが過ぎてく。


なんなの……ホントに。



「ありがと航。もういいよ」



沙奈は顔をあげて、私を止めてる航にそう言った。



「未歩にはちゃんと、言わなきゃって思ってたから」



そして沙奈は「ごめんね未歩」と、また私に謝ってきた。



「おい沙奈……」



「いいの」



何かを言いかける航を、沙奈は止める。



「未歩。今から美術室で話せる?」



そして私にそう聞いてきた。



沙奈のその真剣な顔は、まるでこれから大切なことを話すみたいな雰囲気だった。