泣いてる私の顔を、ただ見つめているだけの彼方。
ユラユラ揺れる視界の中で、今にも目の前の彼方が消えてしまいそうで、怖くなった。
彼方が見えない。
私、泣きすぎて、視界がボヤけて、彼方が見えないよ。
この涙を拭ってほしい。
伸びてくる彼方の人差し指が、おそるおそる、私の涙をすくった。
静かな空間で響く音は、相変わらず風でなびいている原稿用紙と……。
私の、ドキドキとする心臓の音だった。
「未歩さ……。後悔してることあるかもしれないけど」
彼方はそのキレイな表情で、私を見つめながら言う。
その真剣な瞳から、目を逸らすことができない。
「未来までは奪われてないよ」
「えっ……?」
「もう戻らない日々に囚われてちゃダメだ。いい加減、前に進んで。未歩」
そう言った彼方は、同時にそっと私から離れた。


