「……未歩、そんな顔するなよ」
下唇を噛んで、表情をゆがませて。
相当ヒドイ顔をしていたのか、彼方は眉尻をさげて笑った。
その表情をみて、チクンと胸が痛む。
どうして彼方、そんなにさみしそうなの?
「……っ!」
ふいに抱きしめられ、私は思考が停止した。
えっ……?
「大丈夫だよ、未歩」
耳元で聞こえる、透き通った優しい声。
彼方は少しためらいながらも、私の背中をそっと、驚くほど優しく撫でた。
「未歩なら大丈夫だから。きっと……」
……なにが?
いったい、なにが大丈夫なの? 彼方……。
「俺はずっと見てるから。どんなときでも、未歩のことを」
「…………」
心に沁みこんでいく、彼方の言葉。
発した言葉は、私に向けられているものだとわかってるけど、どこか切なげなのは、どうして?
胸がひどく苦しい。


