彼方の身内の人には、先ほど看護師さんが連絡したそうだ。


緊急な手術のため、看護師長さんが今のところ同意書にサインして、身内の方に伝えたとのこと。



でも彼方の家って、おじいちゃんとおぼあちゃんしかいないんだよね?



「未歩!航!!」


焦ったようなその声に顔を上げると、バイト終わりのまま髪を束ねてる沙奈が、走ってこちらにやって来た。


「沙奈……っ」



「彼方は? 彼方はどうなったの!?」



すがりつくように、私に聞いてくる沙奈。


私はゆっくりと目を伏せた。



「……っ」



一気に力が抜けていく沙奈を、隣にいる航が支える。



「ごめん、沙奈。私のせいで、彼方が……」



「違う!未歩のせいじゃない!俺のせいだっ!彼方は俺をかばって……!」



自分を責めるように、大きな声で私の言葉を遮る航。



違うんだよ航。私のせい。



私があまりにも多くのことを望み過ぎたらから、バチがあたったんだ。