「未歩……」



航が私に話しかける。


だけど私は、顔をあげられずにいた。




航が助かって、どうして今度は彼方なの?



どうして私は、過去に戻ることができないの……?




「航……っ」



震える声で、幼なじみの名前を呼ぶ。



するとそれに応えるように、航は私の手を包み込んでくれた。



「彼方は、助かるよね?」



こんなことを聞いたところで、航を困らせるだけなのはわかってる。


でも、不安ばかりが私を襲って、そう聞かずにはいられなかった。




「大丈夫。絶対に」



そう言った航の手が、少し震えてることに、私は気づいてた。