彼方はいつだって、自分より他人を優先して、ありもしない私の話を信じてくれて、そして自分を犠牲にしてまで、私の願いを叶えてくれた。



けれど訪れた結末は、あまりにも残酷で……。




「先生! 彼方は……っ!無事なんですか!?」



「大変危険な状態です。
意識が戻ったとしても、体や脳に障害が伴う可能性が非常に高いですが……。
全力を、尽くします」





まだどこか信じられないでいる自分がいた。



『手術中』と書かれている赤いランプは、もう何時間もずっとこの調子だ。



病院のソファーで、私はずっと手を組んで祈ることしかできなかった。



『未歩。大丈夫だから』



笑顔でそう言った彼方の言葉が、頭の中でこだまする。



……ねぇ彼方。



私、全然大丈夫じゃないよ……。