……なんで?



私が、こっそり万年筆を買いに行こうとしたから?



私が、小説のことを隠してたから?



……だから?




「航……」



力の入らない足で、どうにか立ち上がった。



膝にはかすり傷ができていて、うっすらと血が滲んでいる。



だけど、目の前で広がる血の方が……もっとひどくて……。



頭ではわかってるのに、体が思うように動かない。



まるで心と体を、別々にされたみたい。




ねぇ、どうして?



「……っ」




どうして……っ。




「わ、たる……っ」