「彼方に話せてホントに良かった……。私のこと、信じてくれてありがとう」



嬉しさと安心が混じって、お礼の言葉は少し震えてしまった。



でもおかげで、緊張していた肩の力が少しずつ抜けていくのが、自分でもわかった。



「うん。もう大丈夫」



その優しい声に、無性にも涙が溢れそうになる。


全ての不安がほどけたような、そんな感覚。



彼方は私の頬に、そっと手を伸ばしてきた。


だけどその手は、触れる直前のところでピタリと止まる。



その代わりとでもいうように、優しく微笑んだ。



「未歩はひとりじゃない。
俺がいるから。だから、そんな泣きそうな顔しないで」



ちがうの。


そうじゃないの、彼方。



私は今、不安でこんな顔をしてるんじゃない。



普通ではありえない私の話を、彼方が否定せずに受け入れてくれたから。


だから、すごく嬉しいんだ。