「……っ」



重い瞼を開ける。


医薬品の匂いが鼻をかすめると同時に、白い天井が目の前広がっていた。


ここ、保健室?



「あっ、目、覚めた?」


隣から聞こえる冷静な声に、私はゆっくりと顔を横に向ける。



「……彼方?」


彼方がベッドサイドの椅子に腰掛けて、私を見つめていた。


私は体をゆっくりと起こす。



「ここは保健室。未歩さっき倒れたんだよ。
それで航がめっちゃ焦ってさ。沙奈も途中からきて、ふたりとも大慌てで今、先生呼びに行ってる」



俺はここで留守番。と、彼方は笑って言った。





「そっか。なんか、迷惑かけちゃったみたいでごめんね」



「全然いいけど……。未歩、大丈夫?なんか無理してない?」



「……うん。平気」



無理なんてしてない。


してないけど……私の身に変なことが起きてるのは事実だ。