「人が…いっぱい。」

きっと、あの中に中西くんがいる。

うん、そうだよ。きっといるんだ。

だってあの人だかりは女の子ばかり。

「あれ、神倉?」

「ぁ、野崎くん。」

クラスメートに声をかけられ、その方向を向く。

「それ、中西に?」

「うん。」

野崎くんになら話してもいいかな。なんて、ついつい思ってしまう。親友以外なら野崎くんにしか話せないとも言えるかも。

「中西、呼んでこようか?」

「でも…」

「もーすぐ、あいつあの軍団振り払ってこっち来るよ。」

「え?」

なんで?私なんかに気づくはずなんかない。だって私はクラス一の地味女だよ?