「じゃ、これサービスね。はい、みんなもどーぞ。」
店長は、あたしを含めてみんなに紅茶と、ケーキを出した。
「わぁ、ありがとう。いただきます。」
スポンジケーキの先っぽをフォークでつついて、パクリと食べる。
うん、美味しい。
「美味しい!」
こんなにうまく、あたしじゃできないだろうな。
ここにもいつもお世話になってるから、タルト作ってきたんだけど、どうしようかな。
でも、いつもお世話になってるし、渡そう!
「今日は、あたしも持ってきたの!これ、」
「あら、タルト?嬉しい。私大好物なの♡」
「よかった!本当は果物にしたかったんだけど、生ものは危険だなーって思って、生チョコタルトにしたんだぁ。」
店長はニコニコした顔で、あたしを見ている。
「すごく上手ね。ね、萌乃ちゃん、進学とか、どう考えてるの?」
「んー、パティシェの専門学校に行こうかなって思ってる。」
「ほほぉ…。よし、萌乃ちゃん、いつか、ここで就職して、パティシェとして働かない?」
!わお、すごくいいお話!
「はたらきたぁい!店長、その言葉忘れないでね!あたし、絶対、パティシェになったら来るからね?」
「ふふ、もちろん。」
そんな感じで世間話をしていたら、やっと、龍臣が、やってきた。
「あら、龍臣くん。萌乃ちゃんの横座って。今冷たいお水出すわね。」
そういって、店長はあたしの隣から立ち上がり、お水を取りに行った。
「なんかうまそーなの食ってんじゃん。」
「へへ、食べる?」
「おぅ。」
あたしは自分の皿に残っていたケーキをすくい、龍臣の口の中へと入れる。
「うま。」
そのとき、店長がお水と珈琲とケーキを持って龍臣の前に置いた。
「はい、ケーキはサービス。ぁ、お店の中ではあんまりイチャイチャしないでね。私以外非リアだから♡」