私は北グラウンドへと足を進める。

「瞳!今から渡しに行くの?」

「う、うん。」

「頑張ってねっ!ぁ、瞳のチョコ美味しかったぁ!」

親友の言葉につい、ふふと笑ってしまう。

こんな時も純粋に、感想を言ってくれる。

お世辞なんかじゃないと思う。

あんなに笑顔で美味しかったって言ってくれる。

だから、中西くんへのチョコも美味しいって信じよう。

「中西なら女の子に囲まれてたよ。早く行った方がいいよ!」

中西くん、放課後も囲まれてるんだ…


モテる男も大変だね。なんて人ごとのようには言えなくて。だって、私も中西くんを困らせようとしてる一人だもんね。