特別棟を出て、走り抜ける。

陸上部のおかげか体力はある方だと思ってたけど、こんなに走るのはキツイなぁ…。

勢いよくあたしは屋上のドアを開ける、

「羽佐間っ!」

「やっと来たんだ。」

その声は…後ろから聞こえた。

あたしの好きな人の声。

やっと…聞こえた。

「遅いよ、松野さん。」


17:58…。ギリギリ間に合った…。

「…羽佐間。好き。」

あたしはそっと、瞳に教えてもらって作ったブラウニーを羽佐間に押し付ける。


「もらってよ。羽佐間。初めて一人で作ったの。不恰好かもしれないけど…。」