箱から取り出したひとつのショコラは
月明かりに照らされて、ふわりと布をまとったように神秘的だった。
それを口に含めば、様々な想いと今が入り乱れて
どんなことも今なら許されるって、臆病になる気持ちを後押しさせた。
髪に触れ、頬に触れ。
細い肩に手を置いて、覗き込むようにその表情を眺めれば
頼りなく開いた唇に、すべてが吸い込まれる。
どこまでも深くて。
儚くて。
甘さと切なさが混じった感触が、全身に伝わるまでの時間なんてあっという間だった。
言えない言葉があっても、溢れる想いで息が途切れる。
ずっと、確実に掴めるものがなかったから。
今度だけは、失いたくなくて。
「…一緒に、いたいんだ」

