蜜ショコラ




また、元の時間に戻っていく。

それでも、なかなかそこから出られない。



野崎を、手放せない。




「あの…、圭吾くん」


「っ、ごめん」



慌てて胸から野崎を離せば、当の本人はオレよりもずっと上のほうを見て微笑んでた。



「ううん。ほら、なんだか光のシャワーの中にいるみたい」



つられて見上げれば、天井につながるカーテンが渦を巻いてのびていて。

そこを夕日が照らすから、なんとなくそんな風にも思えた。



「…おまえ、ロマンチストだな」



思わず口元が緩んでしまう。

そんなオレを見て、野崎の顔もフッと明るくなった。