蜜ショコラ




前のこと、謝った方がいいのか。

あんな言い方しか、できなくて。

困らせたいわけじゃなかったのに、傷つけたいわけじゃなかったのに。



オレは、やっとのことで野崎に一歩近づこうとした。

でもそのとき



「陽奈ー?」



「…っ!」



省吾の声がした。

野崎を探してる省吾の声が、廊下の奥から響いてきた。



「省吾…」



思わず振り返るようにした野崎。

その腕を、オレはとっさに自分の方へと引き寄せた。