蜜ショコラ






ガチャ……





…誰かきた?



静かだった部屋に、突然響いたドアノブの音。

音楽室の重い扉は、ゆっくり、隙間を広げるように開いていった。



そして少しずつ見えてくる、その姿。




「……野崎」




ドクン、ドクン、ドクン



鼓動が、勝手に大きく早くなる。

わずかに見えた、その表情を見ただけで。



どうして、またここへ?

オレのとこに、来てていいのか?



ただ、不安そうにオレを見る。

オレも、その場に立ってることしかできなかけど



野崎は何も言わなくて。

でも、オレに会いに来たことは確かで。



遠く向かい合ったまま動けない。

自分の気持ちを、どう行動であらわせばいいかが、わからなかった。