「お前が自分を責めることはないよ。湊の面影が俺にあるのは、仕方がないことだ」




少し目を伏せて目の前の光景を見ていた。

目を向けただけなのか、それをしっかりと映しているのかはわからなかった。




「一緒にいた時間を、忘れられるわけがない」




それは、きっと。

圭都自身がそれを知っているから。




「でも、その長さを越えることは出来るだろう」




時間の長さ。

湊との時間をこれ以上増やすことは出来ない。


けれど。

圭都との時間はこれからもっと増やしていけるだろう。




「湊と一緒にいた時間以上に、一緒にいられればいいと想う。そうなればいい、と」




私は少しでも涙を堪えたかった。

滲んでしまうこの人の顔を、しっかりと見つめてあげたかった。



きっと、この人自身を私は見ている。

湊を重ねることも沢山あるけれど、重ねる度に違いを実感していける。



圭都だけが持っているものが沢山ある。




身代わりじゃないよ。

でも、重なる。

想い出が勝手に。




どうしたらいいのだろう。