だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版






「どうすればいいの?」




どんどん苦しくなって、何とか声を出す。

森川に届くか届かないかのギリギリの声を。


私が言葉を届けると、森川はそれに応えて少しだけ私を抱き締めて、また緩める。



その力があまりにも森川らしく、私はありのままの森川が此処にいることを身体全体で感じていた。




「少しだけ、このままでいてくれ」




そう言って、私を壁側の棚に押し付けるように、自分の身体の向きを変えて寄りかかってきた。

重いはずなのに上手に抱えられているせいか、身体の距離が近付いただけで苦しくならなかった。


私の両腕は投げ出されたまま。

森川の長い腕は、私を離さないように、痛くならないように、しっかりと身体に巻きついていた。



行き場をなくした私の腕は、そのまま森川を抱き締めることを躊躇った。

理由など無いけれど、それでも。



どうすることも出来ずにそっと戻ってくる腕。

自分の太ももの近くで真っ直ぐに伸ばされたまま、自分のパンツスーツを握り締めていた。




森川の鼓動の音が響く。

湊とも、圭都とも違う熱い体温。

少し動くたびに互いのスーツが擦れる音がして、耳元で五月蝿いくらいに響いていた。