その時、扉が開いて誰かが保管庫の中へ入ってきた。
保管庫には中々人が来ることがないので、その音に少し驚いてしまった。
女性ではない足音がこちらに近付いてくる。
棚の影に人の気配はするものの、誰が来たのかまでは見ることが出来なかった。
「お疲れ」
「お疲れ様。もう戻ってたんだね」
靴音の主は森川だった。
企画室の棚に近付いてきたので部署メンバーだろうな、とは思っていたけれど。
「どうしたの?探し物?」
「あぁ。ちょっとな」
いつも以上に言葉が出てこない森川を見て、なんだか不思議な感じがしていた。
仕事中なのに、ぼんやりした様子なので少し心配になってしまった。
「大丈夫?何かあった?」
少し離れた場所から森川の顔をじっと見る。
私の声に振り向いて、森川は目線を返してくれた。
目の中がいつもとは違う少し怖い感じがして、私はそれ以上森川に近付くことが出来なかった。
ゆっくりと私に近付いて来る森川。
目を逸らすことも、その場所から離れることも出来ずに、ただただ縮まる距離を見つめていた。

