「ねぇ、あんたこそ別れなよ。
健太が今日ここに来たのは、あんたから逃げるため。
私が健太と付き合ってるなんてのも嘘。」
「あ、あんた……やっぱ最低!
死ね!」
ストーカー女は、そばにあったアイアンの椅子を持ち、私の頭にうちつけようとした。
ーーサッ
「えっ……?」
「フッ………私をなめないでもらえる?
ゆるいのよ。」
うん。
ゆるすぎ。
多分これ一般の女の子でもよけられるよ。
「許せない……!
健太さんは私の物なのに……!」
ストーカー女は、床に倒れこんだ。
後で掃除しなきゃ。
………掃除か……私がすることじゃないよな。
てか、今そんなこと考えてる時じゃない。
「帰ってください。
私、これでも忙しい身なので。」
はい。これも全くの嘘です。
忙しくなんてありません。
暇です。暇人です。
暇すぎて死ぬくらいです。
「言われなくても帰るわよ……ッ!」
ストーカー女は立ち上がると、涙でグシャグシャになった顔を服で拭きながら家を出て行った。

