「あなたわぁ、けんちゃんとぉ、付き合って何年なんですかぁ?」
「な、何年って………まだ8ヶ月よ。」
ふーん……
健太にしてはまぁまぁ長いね。
いつもは、1ヶ月で終わるのに。
早ければ一週間、いや、3日?
私がチラッと横を見ると、明が笑っていた。
あ、わかったんだ。私の芝居。
よし。
少しばかり調子に乗るか。
「私わぁ、付き合ってもぅ4年なんだけどぉ。けんちゃんのことならぁ、な〜んでも知ってるよぉ?」
はい。マジで知ってます。
「じゃ、じゃあ……健太さんの好きな食べ物は?」
「特別好きな食べ物なんてぇ、ないよぉ?」
「………っ!
じゃ、じゃあ1番好きな酒は?」
酒か……ちょっとわかりにくいな。
「けんちゃんわぁ、お酒で好きなのなんかぁ、ないよぉ?」
↑嘘です。はい。
これで、悔しそうな顔したら、ストーカー女こそ何も知らないことになる。
「な、なによ!
あんたなんかに、私が負けてるわけないじゃない!
その喋り方なんか、絶対健太さん好きじゃないわよ!」
「………なんにもわかってないのはあなたの方じゃないですか。」
「は?」
は?じゃねーよ。
やっぱ馬鹿だろ。
「健太の好きなのはウイスキー。
特にジャックダニエルがね。
なに騙されてんの?馬鹿でしょ。
ストーカーなんだからもう少し健太の事知っとかないと、ただの変質者になるんじゃない?あ、てかもう変質者か。
それに自分のやってることが犯罪だってのもわからない馬鹿には何言っても通用しないわね。」
な、なげぇ。
セリフなげぇよ母ちゃん。
「い、意味わかんないのよ!
いきなり喋り方変わったり、私の事を変質者呼ばわりするなんて……!」

