「今日は帰ってくるのが遅いみたいね。」
確かに……いつもならもうとっくに帰ってきてるはずだ。
「彼女かしら?」
真田さんがそう言った瞬間、ちーちゃんの顔が青くなった。
これはもうフェードアウトしていくに違いない。
「ちょ、そ、そんなわけないじゃないですか真田さん!
中野さんは彼女はしばらく作らないって言ってましたよ?」
「あら、そうなの。もったいない。
あんなにかっこいいのに。」
うん。
それは言えてる。
どっかの誰かさんとは違って、顔だけじゃなくて性格もいいし、料理上手だし、頭いいし。
これぞ完璧!って人だから……
多分大学でも結構ファンがいるんだろうけどね…………
「ふぇっ………な……かのさんっ」
あーあ。
ちーちゃん泣き出しちゃったよ。
「ちーちゃん?
一旦中入ろうか。」
「うんっ」
私は、無駄にデカイ家の扉を両手で開けると、ちーちゃんの背中をさすりながら家に入った。
私の家は、自分の部屋以外は土足でいていいルールになっている。
これは、社長が考えた事だ。
あ、父さんね。

